レスターファインロッドには、ロッドブランクスに秘められた最高のパフォーマンスは勿論、創成期から特に傾注しているオリジナルハンドル & グリップにすぐれたキャスティングシステムを吹き込んでいます。創成期当時、日本全国の様々なフィールドから湧き上がったデーターは、私達を興奮させるに充分余りあるものでした。使いやすさ、パワー、仕上がり、ルックス、どれをとっても素晴らしい評価を戴いた中でも特に目立ったのは、「とにかく無理なく少しのキャストパワーで、真直ぐにルアーが飛んでゆく」と言う事でした。今なら誰もが知っている当たり前の事ですが、それはハンドル&グリップの構造、形状が大きく起因しているのです。
レスターファイン カスタムアルミグリップのハンドルベースは、硬質アルミの打ち出し鍛造(冷間鍛造)製法による強靭な特質を有していますが、すぐれたキャスタビリティの秘密はグリップの角度、形状にあります。(アルミハンドルのほかに、Fuji NGHベース仕様もありますが、どちらも共通のコンセプトです。)
ハンドルを水平にして横から見た場合、当時のオフセットハンドルグリップのほとんどは(図1)の様に水平線(ロッドシャフトの延長ライン)よりも大きく角度が付いてダウンしているのに比べ、レスターファインハンドルはグリップ上部が水平に仕上げられています。(図2)
正確なキャストをする為の基本動作は、ロッドの延長ライン上にターゲットが位置する様に正確にロッドをアドレスしますが、この時ロッドハンドルのグリップ角度が水平より下がっていると(図1)グリップを握った手首→肘→肩を結ぶラインはロッドを持つ利き腕の肘に大きく角度を作ってしまい、キャスト時のロッドの軌跡に不安定を生む原因になります。(図3)
すなわち、グリップ部分がハンドル本体の水平線よりダウンしていればいるほど、ロッドをターゲットにアドレスした時には肘の不安定要素を大きくします。
またこの時、基本アドレス(手首→肘→肩につながるラインをまっすぐ一直線になるように)をとるとロッドのアドレス方向は、ターゲットからハンドルグリップのダウン角度分大きく外れることになります。(図4)
レスターファインカスタムハンドルは、グリップ角度を重視し、ターゲットに向かって真直ぐにロッドをセットした時、キャスターの腕のライン(手首→腕→肩につながるライン)が真直ぐ一直線に重なるようにデザインしています。(図5)
ロッドに与えたキャストパワーとディレクション(方向)が、ターゲットにアドレスした腕の軸線とピッタリと一致する為に、「真直ぐ飛んでくれるロッド」と大好評を戴いたゆえんです。腕からグリップを経由してロッドに加わるキャストパワーと方向性がロスされる事無くルアーに伝わる事によって放たれたルアーは正確にターゲットに向かって行くばかりでなく、キャストパワーのロスが無い分だけ、これまでと同じ力でキャストする時、飛距離が伸びるのは極当然のこととなります。これが「無駄な力を省いた最小限の腕の力で、最大の正確なパワーを生み出す」レスターファインカスタムグリップの基本設計です。
このキャスト法で忘れてはならない事があります。この様にロス無くロッドに伝わったキャストパワーは、ロッドのスイングを止め、ルアーを放出した瞬間、その反動(リアクション)も又ロス無く腕に返ってくる事となります。[グリップに大きく角度のあるロッドでは力の軸線が元から違っていますから、肘に生まれた角度のところでやわらげられます。しかしこれがキャスティングのパワーレスと方向性を狂わせていると考えられます。]
この反動力を放出する為に。。。 グリップの握り方とテクニック
ハンドルグリップの握り方は、全部の指に力を入れてつかもうとしないで、まずハンドルのトリガー(引き金)部分にかけた人差し指、トリガー後方グリップ下部に位置させる中指、そしてリールのスプールを押さえる親指つけねの手のひらによるグリップ上部の3点により軽く支えるように握ります。(図6-A)そして手首を体の内側に90°倒してロッドを水平にした時、(右手による通常のキャステイングのアドレスの姿勢)小指の下部の手のひらのふくらみが、丁度グリップ右側面末端のエグレの部分(このアドレスの時には、このエグレの面は水平面―上―になっています。)に沿って引っかかる様なっています。(図6-B)
トリガー後方のグリップ部分に位置している中指が支点となってトリガーにかけた人差し指、グリップ上部に添えた親指下部の手のひら、グリップ末端のエグレに沿ってフィットした小指下部の手のひらの膨らみによって、薬指、小指に全く力を入れる事無くグリップ(すなわちロッド)はごく自然に適正なキャスティングポジションに位置されるはずです。(図6-C)
キャスティングに際して、薬指と小指をグリップに軽く添える様に(決して余分な力を入れないで)握ります。
このグリッピングによって、キャスト直後(ロッドを前方に振り切って止めた瞬間)に生じる反動力―ロッドが上方に跳ね上がってくるリアクションーを感じる瞬間、キャスト時にグリップに沿えていた薬指と小指の力をゆるめてやれば(薬指と小指をひらいてグリップから離してやっても良い)グリップはトリガー部分が、人差し指と中指の間で保持されて、リアクションの反動力はロッドが上方に(振り込んだ軌跡に沿って逆戻りに)はね返る事によって手首、腕への負担は軽減されます。実際には装着したリールの重量の為、著しい跳ね上がりは見受けられませんが、リールをはずして行ってみれば顕著にあらわれます。
グリップ上部の形状が、グリップ末端に近づいて少し下方へ修正して流してあるのも、親指下部の手の掌の形状によってグリッピング、キャスティングに無理が生じないように少し逃げをつくってあるためです。